自動化運転のガイドライン2016年07月22日 21時11分

日本児童安全学会の研究集会に出席のため学士会館へ。

本日は法政大学大学院の今井猛嘉(たけよし)教授から
「自動走行システムに関する公道実証実験の動向・その
意義と課題」と題した講話をいただきました。
一部だけご紹介しましょう。

自動車の自動化運転のレベルはレベル0からレベル4
まであります。

レベル0は常に運転者が加速・操舵・制動の全ての操作を
行うので、運転の自動化要素は存在していません。

レベル1は、加速・操舵・制動のいずれかを、自動的に行う
システムが採用された場合(自動ブレーキ等)をいいます。

レベル2は、加速・操舵・制動のうち複数の操作が自動的に
行われるシステムが採用された場合をいいます。
(例えばステアリングアシスト付きのアダプティブクルーズ
コントロール技術)

レベル3は、加速・操舵・制動を全て自動的に行いますが、
緊急時やシステム限界等にはドライバーが対応しなければ
ならないとされています。

レベル4は、完全自動運転です。
特定の運転モードにおいて、自動化された運転システムで
運転が行われます。運転操作、周辺情報の収集・監視を
全てシステムに委ねて走行させます。

日本においては、道路交通法第70条(安全運転の義務)で、
車両等(自動車を含む)を運転する者(運転者)には、
自動車を事故が起きないようにコントロールして運行
しなければならない義務があるとされています。

この規定によれば、車両等のハンドル、ブレーキ等の確実な
操作を伴わない状態での自動化運転は許容されていません。
すなわち、レベル3やレベル4は、道交法違反となります。
道交法の上位規範となっている「ジュネーブ道路交通条約」
(1949年制定)では、第8条第5項で
「運転者は、常に、その自動車のコントロール又はその
家畜のガイドが可能でなければならない。」としています。
運転者のハンドル操作義務については明記していませんが、
条文が制定された1949年当時は、自動車のコントロールには
適切なハンドル等の操作が不可欠であったことから、
運転者のハンドル操作義務は前提条件だったと解されます。

ところで条文にはドライバーの定義がありません。
が、レベル3の、緊急時にハンドル操作を適切に行う
(オーバーライド=危険を察知してハンドルをすぐ手で操作
できる)には、必ず車内に人(ドライバー)がいる必要が
あります。
すなわち国際的にも現状で許されている自動化運転は
レベル2までとなります。
日産の車も、先日死亡事故を起こしたテスラの車も
レベル2なのですね。