ヒペリカム ヒデコートとヤマブキ2022年06月02日 21時27分

毎年5月末ごろになると、マンションの庭の
灌木が黄色い(山吹色の)花を咲かせます。

一体なんという名前の木なのだろう、と
ずっと気になっていました。
一重のヤマブキに似ているのですが、ヤマブキ
の葉っぱは卵形でギザギザがあるのに、この
木の葉っぱにはギザギザがありません。
図鑑やネットを駆使して調べてみました。

どうやら「ヒペリカム ヒデコート」(またはヒドコート)
(学名:Hypericum 'Hidcote')で間違いなさそうです。
中国原産のキンシバイの園芸種のようです。

キンシバイはオトギリソウ科、ヤマブキはバラ科
ですので、確かに違いますね。

花は一重のヤマブキによく似ていますが、
おしべとめしべの形も違います。

参考までに下の画像の左が一重のヤマブキ、
右がヤエヤマブキです。
画像の出典は「樹木図鑑」
http://www.jugemusha.com/jumoku-zz-yamabuki.htm
です。

一重のヤマブキには実がなるのに、ヤエヤマブキ
には実がなりません。
ヤエヤマブキはめしべが花弁化し、おしべが退化
しているため結実しないのです。

「後拾遺和歌集」(1086年完成)に
  「七重八重花はさけども山吹の
   みの一つだになきぞかなしき」
  (中務卿兼明親王)
  (なかつかさきょう かねあきらしんのう)
が入っています。
(この歌は元は、「かなしき」の部分が
  「ななへやへ はなはさけとも やまふきの
   みのひとつたに なきそあやしき」
と「あやしき」となっていたようです。
兼明親王が詠んだのはこちらの方かもしれません。)

兼明親王は平安時代の人(987年没)ですので、
そんな昔から、ヤエヤマブキには実がならない
ことが知られていたのですね。

ヤエヤマブキの和歌に関しては、室町時代の
武将 太田道灌(1486年没)の山吹伝説が
有名です。

太田道灌があるとき鷹狩りに出かけてにわか雨
にあい、農家でみの(蓑)を借りようとしたら、
娘が出てきて黙って一輪の山吹の花をさし出した、
というものです。
道灌は「花が欲しいのではない」と怒って帰宅
したのですが、あとで、こんな山あいのわが家
にはあいにく「蓑ひとつもありません」という
意味だったと知ります。

道灌は「七重八重花は咲けども山吹の
実のひとつだになきぞ悲しき」という古歌を
知らなかった自分の無学を恥じ、その後詩歌に
励んだ、とされています。