標識の話2014年01月08日 23時44分

きょうは、(一社)全国道路標識・標示業協会東京都協会の
新年賀詞交歓会に、全標協本部の副会長という立場で招かれて
参加してきました。
会場は新橋の第一ホテル東京です。

そこで、東京都協会が前から提案している「止まれ標識」の
国際化の話題が出て、会場は盛り上がりました。

道路標識(詳しい話は後述)の「止まれ」(一時停止)は
下の写真左のような逆三角形をしています。
しかし国際連合の道路標識の「止まれ」は、写真右のような
八角形になっているのです。

2020年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催される
ことが決定され、国交省では道路案内標識が外国人旅行者にも
分かりやすいものになるよう英語表記に改善する取り組みを
進めています。
事例として、読売新聞に記載されたイメージ図で説明します。

図の出典:YOMIURI ONLINE

現在は「国会正門前」は左のようにそのままローマ字で
「Kokkaiseimon」と表記しています。
が、国会は英語で「The National Diet」なので、Kokkai では
外国人には何の施設か分かりません。
同じように、公園は「Koen」でなく「Park」、
橋は「Bridge」、街道(大通り)は「Avenue」とか「Street」
と書かないと意味が分かりません。
それで、写真の左の表記から、右の表記に替えようというのが
国交省の取り組みなのです。

日本の道路標識は、本標識と補助標識とに分類され、
本標識には案内標識、警戒標識、規制標識、指示標識の
4種類があります。

◎「案内標識」は、方面や方向、距離、道路番号、現在地などの
 案内を、主に青色で行います。
 一般道路の案内標識には、
(1)経路案内、現在地を示すもの、
(2)地点案内、
(3)待避所・パーキングなどの附属施設を案内する附属施設案内
の3種類があります。

図の出典は国交省

案内標識は、国交省、都道府県、市町村など、それぞれの
道路の管理者が設置します(標識の柱にラベルが貼ってある)。

◎「警戒標識」は、道路の状態を前もって知らせて、
 安全な運転を促すために、黄色で設置されています。
 踏切あり、横風注意、すべりやすいなどが、これです。


(図の出典:国交省HP)

図の説明をすると、左から
 「すべりやすい」(標識番号209)、
 「学校、幼稚園、保育所等あり」(標識番号208)、
 「右(又は左)方屈曲あり」(標識番号202)です。
警戒標識の管理者は道路管理者(直轄国道なら国交省、
主要地方道や県道はその道路のある都道府県や政令地方都市)
です。

◎「規制標識」は、通行の禁止や制限などを、赤色や青色で
 示して、交通の規制をします。
 警察庁の管轄で、各都道府県の公安委員会が設置します。
上の写真の「一時停止」(標識番号330)や
  
「通行止め」(標識番号301)などが該当します。

◎「指示標識」は、特定の交通方法ができたり、停止線や
 通行区分などの場所を指示します。
 指示標識も警察庁の管轄で、公安委員会が設置します。
Pで示される「駐車可」(標識番号403)や「軌道敷内通行可」
(標識番号402)などが代表例です。

◎「補助標識」は、本標識が示す規制などを補足するもので、
 「原付を除く」「ここから」「日曜・休日を除く」「8-20」
 などがあります。
 補助標識は、本標識の設置者によって設置されます。

写真は「高齢運転者等専用駐車区間」(私の研究テーマ)を
示す指示標識と、そこに設置されている補助標識です。


指示標識は「駐車可」(標識番号403)ですが、
補助標識に「標章車専用]「枠内に限る」とあるので、
一般の人は駐車できません。
「専用場所駐車標章」(下の図参照)
を掲示していない車がこの駐車スペースに駐車すると、
罰金(反則金)の対象になります。

ところで、上の標識のルールは日本国内のもので、
国際連合の規制標識に合っていないものがあるのです。

1968年にウィーンにおいて開催された国連道路交通会議で、
「道路標識及び信号に関する条約」が成立しました。
国連標識加盟国(フランス、オランダ、スペイン、ドイツ他)
など多くの国では、「止まれ」は八角形標識です。

2011年に研究調査で訪れたブラジルでも、停止(ポルトガル語
でPARE)は国際条約に準じた八角形でした。
路面にも「PARE」の標示があります。
ちなみに「駐車可」は赤で囲まれた丸にE(estacionarより)。
禁止は斜線を使います。
手前の標識は「身障者駐車可」
奥の標識(IDOSO)は、「高齢者(60歳以上)駐車可」
ここに駐車するには、標章の掲示が必要です。
駐車禁止

ブラジルでは基本的に規制標識は赤で囲んだ丸形(停止は八角形)、
警戒標識は黄色のひし形でした。
中でも多いのが、路面のカマボコ状の盛り上がりへの注意を
うながすロンバーダと呼ばれている警戒標識です。
動物(一般には牛)の背中のロンボーから来ている言葉だと
いうことです。
ブラジルでは車を減速させる目的で、このロンバーダが道路の
あちこちに設置されていて、日本の道路にあるハンプより
かなり盛り上がっています。
気づかずに突入すると、車体が跳ね上がってトランクの荷物が
破損したり、車体の低い車だとタイヤ周りにダメージを受けたり
して大変なことになるので、道路脇にあるロンバーダの
警戒標識を見逃さないように運転しなければなりません。
街の中だけではなく、幹線道路にもいっぱいあります。
警戒標識は、国際連合道路標識(欧州方式)だと、
頂点を上に向けた正三角形です。
(図を参照してください。出典は国交省HP)


おまけです。下記に参考資料あり。
外務省 「国際連合専門機関」
国交省 「世界の道路標識」

おまけのおまけ(ドイツの標識)2012年撮影
警戒標識(こども)=こども飛び出し 第136号

規制標識(歩行者専用)第239号

規制標識(止まれ)第206号

規制標識(ここから駐停車禁止):(駐停車禁止は第283号)

参考文献(ドイツ語)
ドイツのStVO(道路交通規則)
標識の説明1
標識の説明2
標識の説明3

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック